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Final Fantasy IX〜Another Side〜

第一章

街が活気に満ちあふれ始めた昼下がり、アレクサンドリア城門前広場に沢山の冒険者たちが集まっていた。
なぜ集まっているかというと、この大陸に巣くうように発生している霧の影響で近年、アレクサンドリア周辺に凶悪なモンスターが現れるようになり、陸路による物資の輸送が困難になってきてそれを一斉討伐するために冒険者が借り出されたわけである。いわゆる、モンスター退治である。
凶悪なモンスターといっても、数々の危険な冒険をしてきた強者たちである。彼等にとっては今回のミッションは"お使い"に過ぎないのである。アレクサンドリアに入国していたところにこうして召集がかかったわけである。なんとも不運だ。しかし、活躍することによって特別なアイテムがもらえるという噂のおかげでこうしてヒマでもない冒険者たちは"お使い"に付き合おうとしているのだ。
そんななか、広場に傷一つ付いていない新品の鎧(アーマー)をガチャガチャと音を立てながら向かってくる少年がたどり着いた。

レオン・ニーザスは急いでいた。今日という記念すべき日に、寝坊してしまったのである。なんといっても初ミッションである、緊張しないわけがない。幸先が悪いと思いつつも集合場所の広場にたどり着いた。
まだ息が荒い。呼吸を調え、辺りを見回すと、視界に白いフードを被りこちらに向かって来る少女が入った。
その少女は、目鼻立ちが調っていて、漆黒のような瞳と髪をしていた。その少女が"普通の女の子"ならイイのである、天使である。レオンだって惚れてしまいたいくらいだ。
しかし、その少女はその調った口元に微笑みを浮かべ、手に持った杖を振り回しながらこっちに向かって来ていたのである。
レオンが汗で視界がぼやけてしまった目を手で拭ったころには、その"杖を振り回す天使"は彼の元にたどり着いていた。顔を上げたレオンと目が会う。一瞬、彼女が微笑んだように見えた。「あぁ、いいなぁ」そんなことを考えてしまう。しかし、それは衝撃とともに空の彼方へ消え去ってしまった。
ゴチン!
鈍い音と共にぼんやりしていたレオンの
脳天に痛みが届いた。
「レ〜オ〜ン〜、今何時だと思ってるのぉ〜」
「っうぅ〜痛えなぁ、ミオ。しょうがないだろ、準備してたら時間がかかっちゃったんだよ。」
"ミオール・クライス"彼女の名である。レオンの幼なじみであり、白魔導士である。何故かは知らないがレオンには並々ならぬ対抗心を抱いており、それがレオンには悩みの種であった。
「ウソばっか、ど―せ寝坊でもしたんでしょ。この、お・ね・ぼ・う・さ・ん」
変なスタッカートがきいている。相変わらずカンにさわる言い方である。
「だぁーもう、そんなことより。今回のミッションの指示はあったのかよ」
これ以上なにされるかわからないので、話を逸らしてみる。
「ううん、な〜んにも。さっきからまったくないのよねぇ。何やってるのかしら、アレクサンドリアの騎士さんたちは」
天下のアレクサンドリア騎士団に対してもこの口調である、恐れ入る。
そのとき、アレクサンドリア城門前広場にある門が開いた。そこから、鎧を身に纏った騎士たちが出てきた。その中の一人が演説台に立ち、コホンと咳をして、今回のミッションの内容を告げた。
いまいちよくわからないが、こんなことを言っていた。
なんでも、冒険者にはランクがつけられていて、各人の功績などによってランクが変化するらしい。ミオに本当か確かめてみたのだが、えっ知らなかったの?と言われてしまった。聞かなければよかった。
そのランクを元に派遣される地域を割り振るのだ。つまり、最高ランクのAランクを持っている冒険者は最も危険な地域に行くということだ。パーティを組む場合は、最も低いランクの者に合わせるようにともいっていた。なにか期待していたわけではないが、もちろん自分は最低ランクのFランクだ。まぁ、ひょっこ冒険者だから仕方が無い。ミオは、自分よりも若干冒険者歴が長いので、Eランクだった。勝ち誇ったような顔をしていたが上級者からしたらドングリの背くらべなので、軽く流しておいた。なんせ周りは自分よりもランクの高い冒険者ばかりなのである。各ランクを監督するアレクサンドリアの騎士団の隊名が発表されていた。高いランクにはそれなりに名の知れた隊がつくようだ。低いランクになるにつれて冒険者の反応は冷たいものになっていった。次はFランクの発表だ。
隊名が告げられる。
「スタイナー隊長、引きいるプルート隊」
一瞬広場に静寂が広がったと思うと次の瞬間、誰かが吹き出した。
「ぶっふ、はははー。プルート隊かぁ、Fランクにお似合いだぜ。」
それにつられるように、周りの冒険者たちが笑いだした。レオンにはなにがなんだかわからなかった。
「なぁ、ミオ。プルート隊ってそんなに・・・」
絶望に近い表情を浮かべミオは振り向いた。
「あったりまえよ、プルート隊っていったらアレクサンドリア騎士団始まって以来のダメダメ隊よ。」
そんなにひどいのだろうか。騎士団の良い噂は聞いたことがあるが悪い噂は聞いたことがなかった。周辺の村には伝わってこなかったが、アレクサンドリア内では有名なのであろう。演説台に立っていた騎士がミッション開始は明日の九時と伝え、騎士たちはその場を立ち去った。集まっていた冒険者たちも解散していった。
まだ情況が飲み込めていないレオンと不満たれたれのミオは広場に取り残されてしまった。

・・・同時刻・・・
彼は体中が悲鳴をあげているのがわかった。何年ぶりの目覚めだろうか。“闇”が支配する世界が彼は好きだった。自分で何かを考える必要もなく、ただ“闇”に従えばよかったからだ。その“闇”は一時衰えを見せたが、この世界に突如として発生した霧によって彼の中でうごめく“闇”が再び動き始めた。彼は永い眠りから目を覚まし、その“闇”に従うべく行動を開始した・・・。

第2章

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